くにうみの先見

最も大事なのは、国民との関係を変えること

第5は、競争原理を導入することです。150兆円の資金をいくつかに分け、それぞれのファンドを競うことも必要です。ただし、運用の目標はあくまでも国民に約束した利回りを超えることです。10%を超えるような利回りは必要ないのです。ですから、利回りだけでなく、変動性などのリスクの面からの評価も必要になります。そうした評価基準を明確にしたうえで、Jリーグのように下位の成績の運用機関は入れ替える必要もあるでしょう。

こうした競争原理は、外部の運用機関を採用して運用させる場合でも、組織と人材を充実させて直接自家運用を行う場合でも、同じ基準で評価すべきです。

最後になりますが、最も大事なのは、国民との関係を変えることです。資産運用は本来リスクを伴います。一時的に損が出るのは宿命です。それでも、リスクを取りながらも英知を結集して、国債や預金の利回りを長期的に上回ることが使命なのです。

長期的な利回りの向上が、年金保険料を低く抑えるためや年金の給付を確保するために不可欠であること、低金利の国債だけに投資していたのでは国民に約束した利回りを確保できないことを明確に説明すべきです。

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