くにうみの先見

運用利回りの目標達成と資産配分の決定に業務を集中せよ

第2に、年金運用の目標を明確化することです。その目標とは、年金財政上の負債である、国民に約束した運用利回りを確実に超える利回りを達成するということのはずです。5年に1度、年金の財政再計算というものを行い、年金の保険料や受取額が決まっているのですから、5年間の期間で運用利回りが目標を超えることが具体的な目標になるでしょう。そうなれば、現在のように3.2%の運用目標がある時に、年間1.5%程度の国債に資産の3分の2を投入するような資産の配分は、金融市場の混乱の時期を除けば、基本的には起こり得ないでしょう。

第3に、目標を達成するために合理的な組織の原理を確立することです。運用組織であるGPIFは、世界的規模の運用機関にふさわしい権限と責任を負わなくてはなりません。資産配分を含めた運用のすべてについて、完全な独立性を確保すると同時に、国民に対する責任と情報開示義務を負うべきです。

特に、運用成績の9割を支配すると言われる資産配分の決定は、高度な専門性と経験に基づいてのみ行われるべきで、官僚機構の中の慣行や政治的な意図から影響を受けず、リターンとリスクの両面から見た運用成績を上げることのみに業務を集中しなくてはなりません。

Article / 記事


トップに戻る