くにうみの先見

ドイツ型にするか米国型にするかで街が変わり国が変わる

高速道路無料化が実現した時に、各地域が選ばなくてはいけないのが、街づくりのあり方です。特に、高速道路無料化の先進国である米国型とドイツ型のどちらの街作りを志向するかが分かれ目になります。

米国は高速道路のインターを中心に新しい街を作りました。国土が広く新しい街を一から作ることが効率的なことが多かったのです。

これに対して、ドイツは高速道路のインター付近にはショッピングセンターなどは作らせないのがほとんどです。高速道路から近くの町までは一般道路で誘導されます。高速道路の沿線にも歩道や自転車道が多く作られます。

そして、伝統ある町の多くでは中心地は自動車禁止です。車は駐車場に止めて歩いたり、バスや電車に乗るのです。歩いてゆっくり回れる落ち着いた町並みには観光客が絶えません。古い商店やレストランもにぎわっています。

高速道路無料化を実現すれば、日本もようやく戦後型のビジネスモデルから脱皮を始めることができます。

戦後日本を焼け跡から世界第2の経済大国に押し上げた原動力が、太平洋ベルト地帯であり、その中心が東京でした。世界中から最も安い原料を買ってきて、太平洋ベルト地帯で加工して優れた製品を作り米国に輸出してドルを稼ぐ。稼いだドルを円に換える。

その金を、国土の均衡ある発展という方針に基づき、全国で橋や道路の建設、農地整備、福祉や医療、教育に充て、国民の生活水準を上げ、消費を活発にする。それがまた企業の売り上げを伸ばす。成長と中流社会が両立したのでした。

太平洋ベルト地帯を結んだ新幹線と名神・東名の高速道路は米国の資金援助でできました。冷戦時代のアジアで日本は米国の同盟国として大きな支援を受けたのでした。

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