くにうみの先見

デットアサンプションで借金は小さくできる

そこで行き詰まった福田首相は、暫定税率による上乗せ分はやはり道路関連に使うという方針を打ち出したのです。その中には環境関連なども含まれますが、何のことはない、今まで通りの新しい道路作りに巨大な予算を使おうという本音が透けて見えています。結局何も変わらないわけです。

そんなムダを続けるよりも、自動車ユーザーから取り上げている道路財源を高速道路の無料化に使えばいいのです。

旧道路4公団の借金は40兆円余り。これがあるから通行料金を取っています。民営化による借金返済計画は45年です。その間、世界一高い通行料金を取るのです。

借金を肩代わりした独立行政法人は国債よりも高い金利で借金しています。今後金利が上がればコストは上昇し、借金返済は遅れます。

高速道路無料化は2つのステップでできます。ステップ1は、国が旧道路4公団の借金を肩代わりします。国が高速道路建設のコストを負担するわけですから、高速道路も普通の国道と同じになります。

この時点で、高速道路の通行料金を取る根拠がなくなりますから、無料化が実現できるわけです。次のステップとして、肩代わりした借金を国が返済します。国は、国債などを通じて独立行政法人よりも低い金利で借金できます。

高速道路無料化を実現するための手法を財務用語で言えば、デットアサンプション(債務承継)です。不良子会社の高金利の借金をなくして親会社の低金利の借金に置き換える時などに、欧米では一般的な手法です。

国の借金が増えても独立行政法人の借金は減りますから、連結会計で見れば借金額は変わりません。むしろ、国の方が、金利が安くまた返済期間も短くできますから、全体としてはコスト削減ができるのです。

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