くにうみの先見

羽田から20分の木更津市の土地は銀座の2000分の1

例えば秋田県では、いくら新幹線が通っていても、交通の95%以上が自動車です。ところが、高速で長距離を移動する手段である高速道路を、地元の住民はほとんど使えません。通行料金が高いからです。

一方、東京には、あらゆる交通手段があります。JR、私鉄、地下鉄やバス路線が網の目のように張り巡らされ、そのうえ、新幹線や内外の航空網も東京が中心です。ついに、羽田と上海の間に航空路線すら開設されました。これでは地方を捨てて東京に出てくる人が絶えないはずです。

ところが、羽田から高速とアクアラインでわずか20分で着く木更津は寂れたままです。木更津金田のインターチェンジを降りた辺りは、田んぼと未利用の造成地が広がります。1坪9万円、銀座のティファニーの土地の2000分の1です。

羽田から20分のところに上海よりも安い土地があるのに放置して、日本企業は中国に出ていきます。片道4000円、値下げの求めに応じても3000円(ETC車は2320円)もする料金では使う人がいないのです。東京一極集中を象徴する格差です。

でも、東京一極集中を前提とした国土は、中国やインドなど圧倒的に安いコストと巨大な国土や人口を武器とした国が世界経済に参加する21世紀には適応不能になりつつあります。

かといって、日本が人件費を中国並みに下げるのは不可能です。そうなれば、大きく下げられるコストは、土地の値段です。しかし、東京の地価を暴落させるわけではありません。

地価が安い日本の地方に、中国やインドと競合しない、むしろ、そうした国をお客にするくらいの新しい産業を興すことです。それが、田園からの産業革命です。興味がある方は私のホームページの論文を読んでください。

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