くにうみの先見

アジアとの共存ができる時代へ

EU、FTA(自由貿易協定)といった地域間や二国間の経済協力関係が、通商関係において強い拘束力をもつ時代になってきた。ところが日本がFTAを結んだのはシンガポールとのみであり、世界の流れに完全に出遅れている。とりわけ深刻なのはアジアにおいてだ。中国がかつての反中国連合であるASEAN護国と次々とFTAを結び、軍事衝突をしたインドとさえ交渉に入っている。このままでは中国に大きく後れをとる事態になる。
日本がアジア諸国とFTAを結べない最大のネックは、国内の農業保護政策である。輸入農産物への規制を国内と整合怪のあるものにし、環境保護の観点からの助成措置を十分に講じたうえで、農ビジネスの革新によって国内の消費者をしっかり捉え、逆に海外の消費者を品質や安全性、ブランド価値などで虜にする態勢が整えば、日本のFTA交渉は大きく進展し、経済安全保障につながる。巨大で複雑で顧客の要求水準が高い国内市場で日本の農ビジネスがいまより大きなシェアを獲得できたときには、消費者市場が急拡大している中国をはじめとした世界市場での競争力ができるだろう。上海などではすでに日本の農産物が高級品として人気がある。日本は農と食の輸出国になれる大きな可能性をもっている。

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