くにうみの先見

国にお金がなく、やむを得なかった有料化

日本に高速道路を作ることを強く要請したのはアイゼンハワー大統領でした。日本道路公団が1956年にでき、時を同じくして米国でもインターステートの建設が始まりました。技術はブルッキングス研究所が提供し、4573億円の建設費の3分の1を世界銀行が貸しました。

この年、アイゼンハワーは、米国でも無料の高速道路網であるインターステートの建設を始めました。ガソリン税を財源に充て、最初から無料でした。

名神・東名が有料になったのは、当時の道路予算が年間200億円しかなく、世銀を通じた米国からの借金や郵便貯金・簡易保険などからの借金(財政投融資)なしには建設ができなかったためでした。

だから、通行料金でその路線の借金を返済した後は、名神・東名もほかの高速道路も無料になるはずでした。当たり前のプロジェクトファイナンスだったわけです。

名神・東名の借金は1990年に返済されています。本来であれば、その年には無料になっているはずでした。ところが今に至るまで8兆円に上る通行料金を取り続けています。なぜでしょうか。

田中角栄首相が誕生した時に、名神・東名などの通行料金を借金の返済ではなく、新しい路線の建設に流用していい、というルールを作ったからでした。

借金返済に回していればとっくにタダになっているはずの通行料金をいつまでも取り続けるからこそ、日本のドライバーは世界一高い通行料金を払い続けているのです。

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