くにうみの先見

「太陽経済」とはなにか

これに対して、私が提唱する「太陽経済」は、「石油経済」とは根本的に異なる。「太陽経済」とは、毎年、地球上のほとんどすべての地域に「平等」に降り注ぎ、あと20億年は続く「持続可能」な「太陽の恵み」を、世界中にいきわたらせる「経済」の仕組みである。重要なのは、「太陽経済」が世界的に成立すれば、毎年の「太陽の恵み」で毎年の「人類の生存条件」をまかなえる、という点だ。
そもそも、太陽は「万物の恵み」であり、「神」であるという考えを、人類は古来持っていた。太陽による光合成が植物を育て、その植物が、人間を含む動物の「食料」となり、薪や木炭などの「燃料」ともなった。また、太陽と植物が作り出す酸素を含む「空気」によって人間も動物も生きる。さらに、生命に欠かせない「水」を雨や雪の形で届けるのは太陽の熱の力だ。そして、太陽が常に新しい植物と空気と水による生態系を作り出して浄化してくれるから、人間が生活できる「環境」がもたらされる。
「食料、燃料、空気、水、環境」という生存条件を与えてくれる太陽の恵みに古来、人間は畏敬と感謝をささげてきた。こうした古来の「太陽の恵み」に、「太陽が生み出す電気エネルギー」という新しい恵みが加わった。
過去百年の科学技術の進歩によって、太陽の光や熱、太陽が起こす風、海流、温度差、太陽が作り出す植物、そして、太陽が降らせる雨や雪を集めた水力、この全ての形の「太陽エネルギー」を安く大量の「電気エネルギー」に転換できるようになったからだ。もう、薪や動物の糞を拾い集めたりしなくても、何億年もの時間をかけて生成された石油や石炭や天然ガスを現代のわれわれが燃料として使い尽くさなくても、クリーンで安全な電気として利用できる新しいエネルギーが誕生したのだ。こうして、古来人類が知っていた、「食料、燃料、空気、水、環境、」という太陽の恵みに、「太陽が生み出す電気エネルギー」という新しい「太陽の恵み」が加わった。
だから、私が定義する「太陽の恵み」は単なる「再生可能エネルギー」のことではない。「食料、燃料、空気、水、環境」という古来の太陽の恵みに、「太陽が生み出す電気エネルギー」という現代の人類が手にした新しい「太陽の恵み」を加えた総合的な「太陽の恵み」のことなのだ。
従って、「太陽経済」は、単なる「再生可能エネルギー経済」のことではない。かつてアメリカのオバマ大統領が就任時に唱えた「グリーンニューディール」という名の「緑の公共政策」のことでもない。もっと、根源的な経済システムである。即ち、「全ての人類に、食料、燃料、空気、水、環境、そして、太陽が生み出す電気エネルギー」、つまり、「人間の生存条件を世界に行きわたらせる経済」である。別の角度から言えば、「人類が100億人になっても平和に共存共栄できる」ための世界的な経済システムが「太陽経済」なのだ。

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